腕時計基礎知識

腕時計のガラス(風防)の違いについて

時計の文字盤の前面を覆っている部品のことを「風防(ふうぼう)」と呼びます。
いわゆる「ガラス」の部分のことで、時計の表面や裏を覆い、ホコリや水などの汚れや異物から文字盤やムーブメントを保護しています。

時計のガラス(風防)の種類

時計のガラス(風防)の素材は大きく分けて3つの種類があります。

1.ミネラルガラス

別名「無機ガラス」と言われるガラスです。いわゆる一般的な「ガラス」です。
その起源は意外と古く、紀元前3000年~2000年の古代エジプトもしくはメソポタミアと言われています。
成分はケイ酸、ホウ酸、炭酸ナトリウム(ソーダ灰)、炭酸カルシウム(石灰)などを溶かして非結晶状態で固めたものです。
ミネラルガラスを特殊強化処理し強度を高めたものを一般的に強化ガラスといい、「クリスタルガラス」「ハードレックス」などがあります。加工しやすい反面、傷がついたり欠けたりしやすいデメリットがあります。モース硬度「3~6」。

2.アクリルガラス

透明なプラスチックや合成樹脂で作られる、 「有機ガラス」と言われるガラスで、「プラスチック風防(プラ風防)」と呼ぶこともあります。更に商標名で「プレキシガラス」と呼ばれることもあります。風防としての強度を上げるためにドーム型で作られることが一般的です。軽量で加工がしやすく、他のガラスより軽量で薄く作っても割れにくく、ケースと溶着させると簡単に防水性を保てる良い面がありますが、樹脂なので傷つきやすく、紫外線で変色するというデメリットがあります。ただし、軽い傷であれば研磨で傷消しができます。モース硬度「2」。

3.サファイアクリスタル

人工サファイアの粉末を水素バーナーで2000℃まで熱して溶かし結晶化した素材で、「サファイアガラス」と呼ぶことも多いですが、ガラスの呼称は便宜上です、いわゆるガラスではありません。
コランダムと呼ばれる鉱物の一種ですが、酸化アルミナを主原料とした人工的に作られた鉱物です。
宝石となりうる天然サファイアとは異なり、サファイアクリスタルは人工のものですが、モース硬度は同じ「9」。最大のメリットは「傷に強い」という点です。しかし、「衝撃で割れる(欠ける)」ことがあります。デメリットはミネラルガラスやアクリルガラスに比べて、加工が難しい点とコストが高価な点です。加工が難しいため、フラット(真っ平ら)な加工がされた風防が多いですが、ドーム型に加工すると更にコストが高くなってしまいます。

クリスタルガラス・サファイアガラスの特殊加工

無反射コーティング

光の反射を防ぎダイヤル(文字板)の視認性を高める為に、ガラスにシリコーン化合物や、フッ化マグネシウムなどを多層膜でコーティングして、ダイヤル(文字板)を見やすくする技術を無反射コーティングと言います。

カーブ加工(ドーム加工)

高級感を出すために湾曲加工やドーム型に加工したもので、カーブドサファイアと呼ばれます。立体的でソフトなイメージを演出します。

風防の種類の使い分け

3つの種類の風防は、コスト面とデザイン面で使い分けされています。
実用面では最も傷に強いサファイアクリスタルを採用するのが理想です。しかし、サファイアクリスタルはコストが高価なため、安価な製品には採用できません。高級時計の多くはサファイアクリスタルを風防に採用します。逆に、安価な時計にはミネラルガラスが採用されます。
更に、デザイン面で使い分けされることがあります。アクリルガラスを積極的に採用する場合は、「アクリルガラス=ドーム型風防=昔ながらの風防」と発想して、「ヴィンテージ感」を敢えて表現したいときに採用します。

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